職人の会式 塗装店経営とは

青木忠史
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【塗装屋さんから生まれた経営コンサルタント】日本建築塗装職人の会 会長/アサヒリフォーム有限会社2代目代表取締役(現名誉会長)/ 経営指導実績700社以上面談実績7,000件以上 / 『職人の会式 塗装店経営法』開発/ 『繁盛親方』経営力UPソフト開発 / 「いちばんやさしい工事店経営の教科書」(ダイヤモンド社)/「日本建築塗装職人の会 成功の秘密」「塗装職人」(サンライズパブリッシング社)他

職人の会式 塗装店経営とは、16年間700社以上の塗装屋さんの経営指導を行ってきた中で、長期的に、お客様に愛され、職人が定着し、その結果、経営成功を実現している塗装店にあった原理原則です。

1つ1つを、簡潔、具体的に説明していきますので、ぜひあなたのお店でも取り入れて実践してみてください。

1.技術者育成をベースに考える経営

 一般的には、「会社の成長は売上を上げていくこと」と考えていますが、「職人の会式」では、「塗装店の成長とは、塗装技術者をゼロから採用して育成した数」だと考えています。

 なぜなら、今の時代、塗装技術者はどの塗装店でも不足しているため、自社で育成ができることが会社の強みとなり、長く生き残っていくためです。

 また、自社でゼロから育成した新卒社員などの技術者は、自社理解も深く、他社への転職を考えにくく、また、そのような人材が経営責任者~後継者になることもあるからです。

2.地域密着型をベースに考える経営

一般的には自社の商圏は「より広く」と考えがちですが、「職人の会式」では、塗装屋さんに合った商圏世帯数から経営をスタートさせることを考えます。これはインターネット集客に取り組んだとしても、ルールはなるべく外さないように心がけます。

なぜなら、現場が遠ければ、移動時間(コスト)がかかりますし、エリアが広がれば、クチコミが起きにくくなり、広告効率も悪くなり、結果的に、ある一定のところから成長が止まるからです。

3.志を立てる経営

 一般的には、とにかく売上が上がる手段を講じるのが経営であると考えますが、「職人の会式」では、「志を立てること」が経営のスタート地点であると考えます。

1つ目は、「塗装工事を通して、地域のお客様の暮らしの安心、幸せを長く守り続ける」という志を立てることです。
2つ目は、「塗装店経営を通して、塗装技術者を育成し続け、塗装業界に貢献し続ける」という志を立てることです。
この2つの志を明確に立てることにより、良いお客様と良い人材との出会いが促進され、経営成功のスタート地点に立つことができるからです。

 「哲学的には、志を立てることが1番ではないか?」と思われる方もおられると思いますが、あえてここでは、3番目に持ってきたのは、具体的な「技術者育成重視」と「地域密着型重視」というわかりやすい哲学から、取り入れていただきたいと考えているからです。

 また、本ページ「職人の会式 塗装店経営」の以下に紹介する1つ1つの考え方も、「志を立てること」から派生していると言っても過言ではないでしょう。

4.理念型マーケティング

 一般的には、お客様の「欲」や「不安」からスタートさせるのがマーケティングと考えます。「職人の会式」でももちろん同じですが、ただ違うのは、そこに「理念」を加えることを塗装マーケティングの基本と考えている点です。

 差別化しにくい塗装工事を差別化させる最大のポイントは、「代表親方の思い」であると考えているためです。そして、「理念型マーケティング」により、材料~価格勝負の土俵に立たずに済むからです。
 また、会社トップの考え方を信じてくれたお客様が一番の優良顧客様であると考えており、さらには「オンリーワンブランディング」も「理念型マーケティング」を実践し続けていくことから形成されていくと、これまでも実証してきたからです。

5.理念ビジョン価値観マッチング型採用

 一般的には、お給料(日当)や労働環境(休日や福利厚生要因)などの待遇面重視型採用を行います。ところが、これでは、人材が定着しにくく組織が育ちません。他に待遇が良い会社が見つかれば、そちらの会社に転職をされてしまうためです。

 そこで「職人の会式」では、代表親方の
①理念・・・仕事を行う上で大切にしている思い
②ビジョン・・・仕事を通して、どのようなことを実現していこうか?
③価値観・・・仕事を行う上で、正しい・間違っているの行動基準
にマッチした人材のみを採用する「理念ビジョン価値観マッチング型採用」を基本と考えています。

ただし、理念ビジョン価値観マッチング型採用は、待遇面重視型採用に比較すると、5~10倍程度難しい採用です。しかし、地道に行っていくことで、確実に組織を作っていくことができる採用手法です。

6.のび太くん採用

 一般的には、「良い人材」「即戦力人材」を採用したいものですが、「職人の会式」では、「他で勤められなかった経験のある人材」や「おとなしくてまじめな人材」、いわゆる「のび太くん」を採用しようという採用戦略を中心軸にしています。

なぜなら、世の中の安定的な塗装店を見てみると、必ず、おとなしくてまじめな職人さんが定着しており、そのような人材が責任者や後継者になっていく事例が多くあるからです。

一方で、機転が利き、運動神経も良く、仕事が出来そうな人材は、すぐに仕事を覚えて、独立をしてしまうケースが多くあります。そのような人材を採用し続けていても、会社組織は成長できないことを長年に渡り職人の会は見てきた経験があるからです。

7.施工班中心主義の経営

 

 今、一般塗装店の多くは、「マーケティング中心主義の経営」をしていこうと考えています。(意識する・しない関わらず)

 マーケティング中心主義の経営では、マーケティングをかけて、集客をし、施工班が居なければ、外注に依頼して、どんどん売上を上げることだけを考えていきます。そのような塗装店の場合、気づいたら自社職人が全体の10%程度しかいなくなっていたということもよくあります。しかしそのような状況は、客観的に見れば、「営業会社」となんら変わらず、お客様が求めている「塗装工事専門店」ではありません。

 そこで、「職人の会式」では、施工班体制に合わせて売上を考える「施工班中心主義の経営」を大切にしています。

「施工班中心主義の経営」は、一見、愚鈍なようで、損をしているようにも見えますが、20~30年という長い目で見た時に、必ず、「マーケティング中心主義の経営」と逆転して発展しています。

 その理由は、安定的な会社環境が社員(技術者)を育み続けることと、地域のお客様や取引先様の眼は決して節穴ではなく、技術者を育んでいるお店を選ぶようになっているからだと、私は沢山、見てきました。

8.自社施工班50%の経営

 一般的な塗装店では、自社施工班の割合などはあまり考えていません。施工班は、手がかかるため、割合を少なくして、いっそのこと「ファブレスカンパニー」として、外注化しようと考えている塗装会社も多いのではないでしょうか。

 一方で「職人の会式」では、自社施工班は50%、常用外注~協力業者を残りの50%と考えています。もちろん、常用外注さんは、雇用形式こそ「外注」ですが、毎現場対応をしてくれる、確定申告型の1人親方を指していますので、社員と同じような接し方をして、教育もします。

 使い分けはこうです。現場仕事ができる常用外注~協力業者は、原価率を下げてくれ、粗利を残して会社に貢献してくれますが、会社組織をつくるための部下育成などは苦手としていることが多いため、お任せできないことも多々あります。

 一方で、自社の施工班はマネジメントに多少の労力がかかりることもありますが、いずれ、職長や責任者にもなってくれることもあるので、大切に育てていきます。

 また、施工班体制が50%を大きく下回りそうな時には、受注をしても、工事時期をズラしたり、時には受注を控えたりても、施工班体制を大切にします。そのようなマインドセットが、必ず、中長期にわたり塗装店を健全に発展させてきているからです。

9.適正価格で受注する経営

一般的には、受注をするためには、値段を下げて契約をしたくなったりしますし、いわゆる甘いお客様の場合には、少し粗利を乗せたくなったりします。

ところが「職人の会式」では、適正価格で受注することを大切にしています。

ここで指す「適正価格」には2通りあります。
1つは、市場相場観での適正価格です。
もう1つは、施工原価から見た適正価格です。

利益の取りすぎは、相手方にストレスを与え、関係構築がうまくいきづらくなります。具体的には、クレームに繋がったりしやすいのです。

しかし反対に、利益の少なすぎは、施工班体制を疲弊させ、会社が育ちにくくなります。

よって、「職人の会式」では、適正価格で受注する経営を大切にしているということなのです。

これも長年、塗装店経営を行っている会社ではよく理解していることと思いますが、いかなる時もこのことを忘れないことと、責任者を任せていく社員にも同じように教育をしていくことを心掛けていくことが大切であると考えています。

10.受注ストック4カ月分経営

 塗装業界には、仕事の波があり、誰が経営をしても受注売上の波をなだらかに安定化させることはできません。そのため、一般的には、「仕事ができる時期には目いっぱい工事をこなしてしまわないと・・・」と考えることが多くあります。

一方で、「職人の会式」では、ひと月の完工売上を明確に定めて、受注ストックを、4カ月分(もしくはそれ以上)確保する経営をすすめています。これにより、受注売上が不安定でも、完工売上はある程度、安定化させることができ、会社を安定化させていくことができるようになるからです。

11.営業利益を10%以上を目標とする経営

 一般的には、利益が出たら節税経費を使い、なるべく納税をしないようにと考えます。しかし、そのような経営では、内部留保も少なくなるので、お金が無い状態がずっと続くことになります。

一方で、「職人の会式」では、営業利益を10%以上出すことを基本と考えています。なぜなら、塗装業は、売上・人材において、常に不安定な業界でもあるため、突然訪れる危機にも常に備えをしておくことを大切にしているからです。
また、一般的には「経営は難しいから赤字でも仕方ない…」と考えていますが、「職人の会式」では、赤字経営はあり得ないと考えています。
(ニッポンの塗装店FCでは営業利益20%以上の会社の多数存在します)

12.年商の50%の内部留保を持つ経営

 一般的には、内部留保目標を立てることは、まず、ありません。税理士先生も金融機関も、いかに融資をさせるかを提案してくるほどですから。
しかし、「職人の会式」では、「年商の50%の内部留保を持つこと」を目標としています。
年商の50%の内部留保を持つとは、具体的には、以下のとおりです。

・年商1億円であれば、5000万円の利益剰余金
・年商2億円であれば、1億円の利益剰余金

「受注ストック6か月分」と「年商の50%の内部留保」を持つことで、約1年間分の貯金があることになります。1年間、仕事がピタっと止まるということはほぼあり得ない話ですので、ある程度の安定経営が実現できるラインと考えています。これは、塗装技術者を長期間に渡り、安定的に雇用していくためには、必要な目標であると考えているからです。

13.コアコンピタンス経営

 (コアコンピタンスとは、「競合他社を圧倒する自社の核となる能力」を指しています。)

 一般的には、一段会社が成長すると、いろいろな事業やモノに手を出したくなるものです。

 しかし、「職人の会式」では、成長した後にも、さらに、自社の専門分野に絞り込み、そこから、さらなるコアコンピタンス(競合他社を圧倒する自社の強み)を創造し続けることを考えています。

 例えば、「多角化」も1つの考え方とは思いますが、塗装店という技術者を育み続けなければ事業を成長させ続けることができない業態において、安易な多角化は、多くの場合、控えめに考えたほうが良いと、職人の会では考えています。

 なぜなら、事業が成長するということは、大小含めた、さらに多くの競合他社とバッティングすることになること、また、多角化で広げた事業分野では、新参者として、既存の企業と対峙しなければならなくなり、経営戦略が無い多くの中小企業の場合、いずれ厳しい経営に陥ってしまう可能性を秘めているからです。

 そのような経営環境を理解した上で、事業展開を進めるとしたら、既存のマーケットを変えないこと、既存のコアコンピタンスを変えないことを理解した上で、取り組む多角化経営がとても大切です。

このような塗装屋さん経営が、長期間安定経営を実現しているからです。

売上至上主義の経営(いわゆる覇道の経営)で、経営を進め続けると、いずれ時間が経過した時に、大きく崩れることがありますので要注意です。

14.自社の成長軸で会社を成長させる経営

 一般的には、ライバル業者との競争に目と気持ちを奪われがちです。そして、売上競争・受注競争に参加してしまい、時間を浪費し、会社を疲弊させてしまいます。

「職人の会式」では、原則ライバルを見ず、マーケットにいる自社のお客様だけを見続けます。

 自社を選ぶお客様(=ペルソナ)を、より精密な眼で見極め続けていき、そのペルソナが求めている一歩進んだ塗装工事を提供し続けていくことが、自社だけの成長曲線を描き続けることが可能だと考えているからです。

15.まとめ

以上が「職人の会式 塗装店経営」です。

上記の経営哲学を落とし込んだ経営が「ニッポンの塗装店FC」です。

素直に実践することで、誰でも、仕事が切れない安定経営を実現できるようになります。

 

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日本建築塗装職人の会は、塗装業界の健全発展、建築業界の健全発展を実現したいと考えている任意団体です。
日本建築塗装職人の会の武器は、これまで15年間700社以上の経営指導実績の中で培ってきた独自の経営スキーム「職人の会式 塗装店経営」です。
このスキームを通して、先が見えづらいと言われている時代の中で本当に大切なもの、本当に価値ある塗装工事店や塗装職人さんを残していきたいと考えています。

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