外壁塗装で独立するには?失敗しない10の準備と資金・仕事の取り方

「塗装店で独立したい!」

これは、塗装職人の方であれば誰もが一度は考える道です。ところが、
「独立は厳しいぞ・・・」
「独立はそう簡単には行かないぞ・・・」
などと言われることもよくあります。

そこで、外壁塗装の職人がどのように独立し、その後も成功し続けることができるのかをお伝えします。独立までの流れ、必要な資金と手続き、仕事の取り方、独立後に起きやすい失敗まで。これまで700社以上の塗装店へ経営指導を行ってきた立場からまとめました。

すでに独立していて、仕事や資金に不安のある方は、後半の「独立後に仕事がない状態を防ぐ「仕事の取り方」」「独立後の失敗3つのケース」からお読みください。

先行きが不透明な時代だからこそ、あなたや、塗装店を支える私たち日本建築塗装職人の会を含め、日本中の小さな会社1社1社が強くなることで、日本経済を発展させていくことを共に実現していきましょう!

外壁塗装で独立するには?独立までの流れ・何年目の目安・年収

住宅の外壁を脚立に乗ってローラーで塗っている塗装職人の後ろ姿

外壁塗装で独立するには、技術を身につけたあと、資金と道具・仕事の当て・手続きを順に整えて開業します。特別な資格は要りません。ただし、独立する時期と、独立後に何が待っているかを先に知っておくと、失敗を避けやすくなります。

独立までの流れ

塗装店として独立するまでの流れは、大きく次の5段階です。

  1. 技術を身につける:塗装店で働きながら、下地処理から仕上げまで一通りの現場をこなせるようになります。
  2. 資金と道具を用意する:作業車・道具一式と、独立後しばらくの生活費を貯めます。
  3. 元請様・お客様の当てをつくる:独立後に仕事を出してくれる元請様や、仕事を頼んでくれそうなお客様との関係をつくっておきます。
  4. 手続きをする:開業届・青色申告の申請・一人親方の労災保険など、必要な届出を済ませます。
  5. 開業する:屋号を決め、名刺・チラシ・ホームページで地域に知らせます。

このうち2は「必要な資金」の章、3は「独立成功10点セット」の章の④元請様と⑦お客様の項目、4は「手続き」の章、5は「仕事の取り方」の章で、1つずつ説明します。

独立の目安は「早い方で5年目、平均10年目」

日本建築塗装職人の会が多くの塗装店さんを見てきている限りでは、独立の時期は早い方で塗装の仕事を始めてから5年目、平均的には10年目という方が大変多いです。

独立を考えるきっかけには、次のようなものがあります。

◎現場仕事が一通りできるようになり、どんな仕事でもこなせる自信がついた
◎親方が年を重ね、「お前も独立したらどうか」と声がかかった
◎今の親方と仕事の考え方が合わなくなった
◎今の会社に将来性を感じなくなった
◎結婚などでライフスタイルが変わり、今の給料では足りなくなった
◎「男なら一度は独立をしてみたい!」という気持ちが芽生えた

親方から声がかかって独立した方の多くは、独立後も親方の仕事を下請として請け、ご恩を返しています。親方と考え方が合わない場合も、いきなり独立を決めず、まず親方とよく話し合ってください。喧嘩別れをしない独立が、独立後の仕事につながります。

注意したいのは、「独立をしたほうが収入が上がるのでは」という理由だけで独立を考えている場合です。独立はそんなに簡単にできるものではありません。今の会社で職長や責任者を目指す、給料の良い会社に移る、という道も比べてみてください。

「男なら一度は独立をしてみたい!」という気持ちで独立する方は、苦労をしながらも結果的にうまくいくことが多いと見ています。友人・知人という刺激があり、「志」が立っているからです。このような方には、仕事を一通り経験し、体力もある30代半ばあたりまでが独立のおススメ時期です。

独立後の年収の目安(成功した方の例として)

独立後の年収は、一段成功した方を平均すると1,000万円前後、さらに多い方では2,000万円〜3,000万円という方もおられます。ただし、これは成功した場合の例です。

独立した直後は、仕事が安定せず、会社員のときより収入が下がる時期があります。その時期をどう越えるかは、次の章からの「準備」で決まります。

一人親方で始めるか、人を雇って「4人までの塗装店」を目指すか

作業車の前に並んで現場を見ている4人の塗装職人の後ろ姿

独立するときに、まず決めておきたいのが「一人でやるのか、人を雇うのか」です。答えを先に言うと、一人親方で始めてよく、目標は「社長を含めて職人4人」に置きます。人を雇うと、給料の分だけ必要な資金が大きくなり、代わりに仕事の量と現場の規模を増やせます。

一人親方で始める場合の特徴

一人親方は、自分一人で仕事を請け、自分で施工する形です。塗装店の独立では、ここから始める方が多数を占めます。特徴は次の4つです。

  • 自由度が高い:仕事を選べ、休みも自分で決められます。人を雇わないので、毎月の給料の心配もありません。
  • 収入に波がある:仕事があるときは忙しく、無いときは収入がゼロになります。
  • 自分が止まると仕事が止まる:けが・病気・悪天候で現場に出られないと、その間の売上はありません。代わりの人もいません。
  • 大きな現場を請けにくい:一人でこなせる仕事の量に限りがあるため、受けられる現場の規模も限られます。

塗装店経営の入口は「社長を含めて職人4人」

一人親方で始めても構いません。ただ、塗装店経営に取り組む「入口」としては、社長を含めて職人4人までの塗装店がベストだと職人の会では考えています。一人で始めても、目標はここに置いてください。

社長と職人3人で年商4,000〜5,000万円。これが、職人社長が自分の目で見られる会社の大きさです。この大きさで利益を出せるようになってから、次の段階(職人8人・年商1億円程度)に進むのが順番です。

この順番を飛ばして先に人数を増やすと、やり方が間違っていても「売上を下げたくない」という気持ちが先に立ち、直すのが遅れます。まずは4人までの塗装店を一つの目標にして、独立の準備を進めてください。

日本建築塗装職人の会には、「ニッポンの塗装店FC」(フランチャイズ)があります。一人親方から4人までの塗装店を対象に、チラシ・ホームページでの自社集客と職人育成を1社ずつ支援する加盟制度です。支援の内容は、以下でご確認ください。

独立して成功するために揃える「独立成功10点セット」

ここからは、現実的にゼロから独立を成功させるための「独立成功10点セット」です。「資格」や「建設業許可」は独立後でも良いという判断から、この記事の「独立の手続きと、持っていると有利な資格」の章で説明しています。

それでは、10点を順に見ていきましょう。

①作業車と道具

塗装店さんの独立成功10点セットの1つ目は、作業車と道具一式(刷毛・ローラー・脚立・足場板・高圧洗浄機・その他小道具一式)・ノートPC・プリンタです。

これらは現実的に、絶対に外せない物ですね。

②志(何のために独立するのか)

塗装店さんの独立成功10点セットの2つ目は、「志」です。

具体的な「志」とは、「塗装の仕事を通して、社会に貢献する」などという「思い」です。

もちろん自分のためにも独立をするのですが、「自分のため」だけでは人やお客様もついてこないため、「地域社会のために」や「まわりの方々のために」という「利他(りた)」の思いが大切です。

日本建築塗装職人の会でも加盟初期に学ぶことの1つに「志」がありますが、「志」がしっかりと立っている方には、独立後も必ず多くの人が集まってくるようになりますので、結果的に事業が成功していくということになります。

詳しくは、以下の「いちばんやさしい工事店経営の教科書」にも記載していますので、ご覧ください。

これから塗装店さんで独立される方の初歩としては最適です。

いちばんやさしい工事店経営の教科書の表紙
いちばんやさしい工事店経営の教科書の本文ページ

(このように、経営の基本がわかりやすい言葉で書かれています)

③塗装店経営の知識

塗装店さんの独立成功10点セットの3つ目は、「塗装店経営の知識」です。

塗装店経営の知識とは、以下のとおりです。

・マーケティングノウハウ
・営業ノウハウ
・施工技術
・人材採用ノウハウ
・技術者育成・組織づくりノウハウ
・経営管理ノウハウ

これらは今から継続的に学習して習得していくことが大事です。本サイト「日本建築塗装職人の会アカデミー」や上記の「工事店経営の教科書」にも記載してありますので、少しずつ習得してみてください。

④元請様

塗装店さんの独立成功10点セットの4つ目は、仕事を発注してくれる「協力者」いわゆる「元請けさん」です。

職人の会の先輩経営者と若手の塗装店主が話している様子

(職人の会の大先輩経営者の方々も、元請になってくださるケースも多々あります)

現場で仕事に向き合う元請けの塗装店主

(ただし、立派な元請け様ほど、仕事には厳しい方が多いかもしれません)

■仕事を発注してくれる「元請さん」は1社でもOKです。
かわいがってくれている元請さんがいる方といない方では、独立後の業績に雲泥の差がつきます。まずは、かわいがってくれる元請様がいて、「俺が仕事を出してやるから独立しろよ」等と言われるようなことがあれば、大変恵まれていると感謝したいですね。

(ただし、元請様の仕事が途切れたときに自分で仕事を取る手段が無いと苦しくなります。その話は後半の「仕事の取り方」と「失敗3つのケース」で書きます)

⑤気心の知れた部下

塗装店さんの独立成功10点セットの5つ目は、「気心知れた部下」です。一人親方で始める方は、「将来一緒にやりたい仲間がいるか」と読み替えてください。

1人では挫けそうになってしまうことがあっても、仲間がいることで、もう一段「がんばろう!」という気持ちにもなれますし、独立当初からあなたについてきてくれる気心の知れた部下が、会社が成長した後には経営幹部になっていることもよくあります。

この時の注意点としては、「儲かりそうだから…」などというお金でついてきてくれるような方ではなく、たとえ、お給料が1ヶ月、2ヶ月支払えない時期があっても、あなたと苦楽を共にして、信じてついてきてくれる方であれば最高です。そのような方は間違いなく、経営幹部になっていくでしょう。

⑥応援をしてくれる奥様

塗装店さんの独立成功10点セットの6つ目は、「応援をしてくれる奥様」です。奥様に限らず、ご家族の理解と応援があるかどうか、と読み替えていただいても結構です。

創業時に奥様が手伝ってくれるというケースは時々ありますが、奥様が経理・総務面を行ってくれるだけで、会社は安定的に成長することができます。

逆に、奥様が居なければ、社長が経理も、確定申告も、決算も、自分で行わなければなりません。意外と数字が苦手な方には大変な仕事になります。そして、申告漏れなどがあった場合、追加で税金を納めなければならないこともあるため、十分に注意が必要です。

また、会社が大きくなっていった時には、社長が経理をやり続けることもできなくなるので、経理担当者を雇わなければならなくなりますが、奥様が経理担当を行ってくれるのなら、とても安心です。

⑦仕事を頂けそうなお客様(5〜10人前後)

塗装店さんの独立成功10点セットの7つ目は、「独立後、仕事を頂けそうなお客様」(5~10人前後)です。

独立する際には、お客様はいないのが普通です。しかし、知人や何かでご縁がある関係上のお客様が独立後お仕事を依頼してくれるとしたら独立後も安心ですね。

しかし、長期的に経営を安定化させるためには、本質である「塗装店経営」、その中にある「集客」や「営業」をマスターして実行する必要があることは否めませんが、独立する際に多少でもお客様がいると心強いものですので、「独立後、仕事を頂けそうなお客様」を準備しておくことは大切なことです。

⑧独立後1年〜3年先までの経営計画

塗装店さんの独立成功10点セットの8つ目は、「独立後1年~3年先あたりまでの経営計画」です。

独立後の塗装店の経営計画書の例

このような計画書を作成していることにより、金融機関からの融資を受けることも容易になります。

一方では、多くの方が経営計画などを書いていることはなく、むしろ「独立すること」自体を「GOAL設定」しておられ、独立してから、行き当たりばったりの経営をされる方も大勢おられます。

実際には、独立してからの1年間、どのように売上を上げていくのか?という「単年度事業計画」から考えていきましょう。

さらに、時間とゆとりがあれば、将来、どのように自分は引退をするのか?それまでにどのような会社を作って事業を任せるのか?等もあらかじめ考えた上で独立に取り組んでいけるとしたら、多くの確率で成功できそうです。

(「独立後の塗装店経営の経営計画」は、別途オンラインセミナー等も企画していますので、ぜひ参加されてみてください。セミナーの案内は無料会員登録で届きます)

⑨運転資金(最低100万円〜500万円前後)

塗装店さんの独立成功10点セット9つ目は「運転資金」です。

運転資金とは、独立してから売上が入るまでの間、材料代や生活費、毎月の経費を支払うためのお金です。目安は、最低100万円〜500万円前後です。参考までに、人を雇って元請けになってからの年間予算の例は以下のとおりです(独立直後の一人親方には、社員給与や家賃はまだかかりません)。

項目年間予算(万円)
社長給与400万円
社員給与300万円
家賃(店舗・駐車場・倉庫)100~150万円
広告宣伝費50万円~100万円
諸経費(電気・水道・電話・ガソリン代)50万円前後
雑費50万円前後
合計約1,000万円

元請けになると、少なく見積もってもこれだけの経費がかかります。この約1,000万円をまかなうには、下請け仕事なら年13~16件以上の受注が必要です。元請けで受注できれば、同じ件数でも手元に残るお金が増えます。元請けになったあとは、この経費を払いながら仕事を回すお金も運転資金に含めて考えてください。

また、独立の前後に金融機関から借りる運転資金は、おおよそ300万円前後という方が多いように感じます。

⑩運(準備を整えた人に巡ってくるもの)

塗装店さんの独立成功10点セット10番目は「運」です。

50代から元請け化を実現した職人の会の塗装店主

(職人の会式では、50代から元請け化を成功させる方もいます!)

現実面の準備を行った上で「運」も味方をすると、成功確率もグンと上がっていくのではないでしょうか。では、ここで「運」が良いと思える方の特長を述べておきましょう。

◎明るく、優しく、元気!
◎「ありがとう」と「ごめんなさい」を素直な気持ちで言うことができる
◎常に健康管理をしている
◎仕事熱心
◎身の回りの方々を大切にしている
◎両親・祖父母を大切にしている
◎自分らしさを大切にしている
◎他人を否定しないで、どんな人でも肯定している

このような態度を持続していることで、良いバイブレーションが回り、結果的に「運」がよく見えるのだと思います。

塗装店さんは、「仕上げ」業という職業柄、どうしても人の欠点を見たり、粗探しをしたりする傾向があったりします。

ところが、人間に対して「ダメひろい」「ダメコミ」をしてしまうと、人が離れていってしまいますので、それとは正反対の考え方も意識しましょう、というのが、こちらの最後の「運」になります。

ただ、言わないとなかなか気が付かないものだと思いましたので、書かせていただきました。

以上が、「塗装店さんの独立成功10点セット」です。全部を満たせばかなり成功確率は高くなると思いますが、たとえ全部ではなくても、独立のための指針として、活用してみてくださいね。

10点のうち、今いくつ揃っていますか

ここまでの10点を、ご自身に当てはめて数えてみてください。

□ 作業車と道具は揃っている
□ 何のために独立するのか、人に話せる
□ 集客・営業・経営管理を学び始めている
□ 独立後に仕事を出してくれる元請様がいる
□ 苦楽を共にしてくれる部下(仲間)がいる
□ 家族が独立に賛成し、経理などを手伝ってくれる
□ 仕事を頼んでくれそうなお客様が5人以上いる
□ 独立後1年間の売上計画を書いた
□ 運転資金を100万円以上用意できている
□ 「ありがとう」「ごめんなさい」を素直に言えている

揃っていない項目があっても、今から1つずつ整えれば大丈夫です。揃っていない項目を1年かけて整え、独立後の経営計画まで一緒に作るのが、日本建築塗装職人の会の「独立起業支援コーチ」です。月1回のオンライン面談で、独立の準備を一緒に進めます。

外壁塗装の独立に必要な資金はいくら?初期費用と運転資金の目安

机の上に置かれた電卓・通帳・刷毛・ローラーと車の鍵

外壁塗装の独立に必要な資金は、作業車などの「初期費用」と、当面の「運転資金」の2つに分けて考えます。初期費用は、最小限で揃えれば約100万円(下の表)。運転資金は、10点セット⑨「運転資金」のとおり最低100万円〜500万円前後が目安です。幅があるのは、人を雇うか、事務所や倉庫を借りるかで変わるためです。それぞれの中身を見ていきましょう。

初期費用の内訳

独立のご相談で、最小限の目安としてお伝えしている内訳は次のとおりです。作業車・道具・看板・ホームページ・チラシが最初に一度かかる費用、倉庫と保険は毎月・毎年かかる費用です。

項目最小限の目安
作業車中古で40万円
道具一式数万円
看板自宅に付けるなら2〜3万円
ホームページ制作40万円前後まで
チラシ10万円前後(数万枚分をまとめて)
労災保険の特別加入(毎年)初めは年間数万円以下
健康保険(毎月)各地の土建国保に加入(保険料は組合ごとに異なります)
倉庫(毎月)月の家賃2万円〜(小さな倉庫で十分)

ホームページに100万円以上の高額なものは必要ありません。ただし、始めは小さく、徐々に成長させられる発展性のあるホームページがベストです。チラシは、数万枚分をまとめて印刷すると1枚あたりが安くなります。

道具は、勤めていた塗装店から譲ってもらえることもあります。作業車も中古で十分です。最初から新品で揃えようとせず、浮いたお金を運転資金に回してください。

運転資金は「生活費と仕事の谷」を見込んで用意する

運転資金とは、独立してから売上が入るまでの間、材料代・外注費・自分の生活費を支払うためのお金です。塗装の仕事は、工事が終わってから入金されるまでに1〜2か月かかることが珍しくありません。その間も、材料代と生活費は出ていきます。

さらに独立の直後は、仕事が途切れる「谷」の時期があります。谷の間の生活費を貯金から出せるかどうかで、独立後の落ち着きは大きく変わるでしょう。目安として、仕事がゼロでも3か月は生活できる額を、初期費用とは別に用意しておくと安心です。

資金の集め方(自己資金・日本政策金融公庫の融資)

資金は、まず自己資金で用意するのが基本です。足りない分は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」など、創業者向けの融資を使う方が多く見られます。公庫の融資は、新たに事業を始める方と、事業を始めてからおおむね7年以内の方が対象です。

融資を受けるときに必ず求められるのが、10点セット⑧の「経営計画」です。独立後1年間の売上と経費の見込みが紙に書いてあるだけで、金融機関の見方は変わってきます。

経営の考え方や集客の進め方は、日本建築塗装職人の会の無料会員向けの資料とメルマガでも学べます。無料会員登録は、こちらからどうぞ。

独立の手続きと、持っていると有利な資格

机の上に置かれた白紙の届出用紙と印鑑・朱肉・ボールペン

塗装店の独立に、必要な資格や許可はありません。ただし、税金・保険・許可の手続きは、独立の前後で順に済ませる必要があります。ここでは要点だけをまとめます。

個人事業で始める場合の手続き

個人事業主(一人親方)として始める場合の手続きは、次の4つです。

  1. 屋号を決める:「○○塗装」「○○ペイント」など、お店の名前です。名刺・看板・ホームページで使います。
  2. 開業届を税務署に出す:「個人事業の開業・廃業等届出書」です。提出期限は、事業を始めた年の確定申告の期限までです(国税庁)。
  3. 青色申告承認申請書を出す:青色申告にすると、最大65万円の青色申告特別控除など税金の面で有利になります。事業を始めた日から2か月以内に提出します(国税庁)。
  4. 一人親方の労災保険に特別加入する:一人親方は、雇われている職人と違い、そのままでは労災保険の対象になりません。建設業の一人親方は、労災保険に特別加入できます(厚生労働省)。元請様から加入を求められることも多いので、独立前に済ませておきましょう。

健康保険は、各地の土建国保に加入する方が多いです。国民健康保険と比べて、保険料や給付の内容を確認して選んでください。

法人化とインボイス登録はいつ考えるか

法人化は、最初から必要ではありません。人を雇い、売上が増えてきた段階で検討すれば十分です。法人にすると社会的な信用が上がり、建設業許可も取りやすくなりますが、設立費用や税理士への依頼など、毎年の費用も増えます。

インボイス(適格請求書発行事業者)の登録は、元請様との関係で決まります。開業から2年間は、原則として消費税を納めなくてよい「免税事業者」です(国税庁)。ただし、登録をしていない下請けに払った消費税は、元請様が納める消費税から差し引けなくなり、元請様の負担が増えるため、登録を求められることがあります。登録をすると、売上に関わらず消費税を納める「課税事業者」になります。元請様が登録を求めるかどうかを独立前に確認し、求められるなら登録する、という判断でよいでしょう。

独立に資格は要らないが、有利になるのは「一級塗装技能士」と「建設業許可」

独立するために必要な資格はありません。ただし、独立後に有利になるものが2つあります。一級塗装技能士と、建設業許可(役所から受ける許可です)です。有利になる理由は、お客様・元請様・求職者が、この2つを信用の目安にするからです。

建設業許可は、1件の請負代金が500万円未満の工事(軽微な建設工事)であれば無くても請けられます(建設業法施行令)。一般の住宅の外壁塗装はこの範囲に収まることが多いため、独立直後は許可が無くても仕事はできます。建設業許可は個人事業主でも取れますが、職人の会では、会社を法人にした時点で必ず申請する、という順番をお伝えしています。許可があると元請様からの信頼が上がり、人材採用でも有利に働きます。

独立後に仕事がない状態を防ぐ「仕事の取り方」

住宅の玄関ポストに無地のチラシを入れている作業着の人物の手元

独立後の一番の不安は、「仕事が取れるか」です。仕事の取り方は、独立してからの時期によって変わります。最初は元請様と紹介でつなぎ、並行して自社で選ばれる仕組みをつくっていきます。

最初の1〜2年は元請様と紹介でつなぐ

独立した直後は、10点セット④の元請様と、⑦のお客様からの仕事が中心です。元請様からの下請け仕事は単価が低いことも多いですが、この時期は「仕事が切れない」ことを何より優先してください。

この時期にやっておきたいのが、工事をしたお客様の近所と知人への紹介のお願いです。丁寧な仕事をして、終わったあとに一言「お知り合いでお困りの方がいたらご紹介ください」と伝える。これだけで、紹介の仕事は少しずつ増えていきます。

自社で選ばれる仕組みをつくる

下請けと紹介だけでは、仕事の量を自分で決められません。独立後1年のうちに、地域のお客様から直接選ばれる仕組みを始めてください。小さな塗装店が最初に取り組むのは、次の3つです。

  • チラシ:自分の家の周りの地域に、定期的に配ります。1回配って終わりにせず、同じ地域に繰り返し配ることで名前を覚えてもらいます。
  • ホームページ:会社名・施工事例・料金の目安・人柄が分かるページを用意します。お客様はチラシを見たあと、必ず名前で検索します。
  • Googleビジネスプロフィール:無料で登録でき、「地域名+外壁塗装」の検索で地図に表示されます。施工事例の写真とお客様の口コミを集めていきます。

集客の進め方を細かく確認したい方は、「塗装店の集客を成功させる120のチェックポイント」をご覧ください。

仕事が途切れたときにやること

仕事が途切れたときは、落ち込んで待っていても仕事は来ません。やることは決まっています。

  • 工事をした過去のお客様に、はがきや電話で近況を知らせる(次の工事と紹介につながります)
  • 元請様に、手が空いていることを伝える
  • チラシを配る(仕事が無い時期は、配る時間があります)
  • 見積もりを出したまま返事が無いお客様に、連絡をする
  • ホームページとGoogleビジネスプロフィールの施工事例を増やす
仕事がない

独立後の失敗3つのケースと、失敗する人に共通する癖

夕方の事務所で机に向かって頭を抱える作業着の男性の後ろ姿

次に、独立後の失敗を3つのケースとして紹介します。「独立して失敗したらどうしよう・・・」という見えない恐怖におびえるのではなく、具体的な失敗の状況を知ることで、失敗を避けて通ることができるためです。

昔の格言に「成功者は成功する方法を知っているのではなく、どうしたら失敗をするのかを知っているから、失敗を避けて通ることができる。その結果、成功するのだ」という言葉がありました。そのような観点から、以下を参考にしてください。

独立後のご相談で、実際によく出てくる言葉があります。

◎仕事が切れて、応援でしのぐ時期がある
◎チラシを撒いても反響がない
◎ホームページを作ったのに、問い合わせがない
◎その反面、忙しいときには手が足りなくなり、仕事が安定しない
◎仕事が回っても、お金が回らない

どれも「仕事が安定しない」「お金が回らない」の2つに行き着きます。放っておけば、次の3つの失敗のケースへ一直線です。そして失敗する人には、「自分で仕事を取る手段をつくらない」「どんぶり勘定を直さない」という2つの癖が共通しています。

仕事が取れないケース

1つ目の失敗は、「仕事が取れない」ケースです。取れても安い下請け仕事だけで、生活するのが精一杯の状態を指します。仕事が切れると、他の塗装店の応援に入ってしのぐ時期が続きます。

このケースに共通する原因は、元請様の仕事が途切れたときに、自分で仕事を取る手段が無いことです。元請様が1社でも、仕事が続いているうちは問題ありません。問題は、途切れたときに代わりがないことです。

対処法は、マーケティングと営業を覚えることです。前の章「仕事の取り方」で挙げたチラシ・ホームページ・Googleビジネスプロフィールを、仕事があるうちから始めておいてください。もしくは、そうなる前に、ニッポンの塗装店FCへの加盟もおすすめします。加盟案内の資料は、以下から無料で請求できます(メールでお送りします)。

借金がかさむケース

2つ目の失敗は、借金(借入)がかさむケースです。借入がかさんでくると、お金を返すために働いているような日々になり、安い仕事でも請け負っている間に、さらに借入がかさんでいきます。「仕事が回っても、お金が回らない」という状態です。

このケースに共通する原因は、どんぶり勘定で、現場ごとの利益が見えていないことです。忙しいのに手元にお金が残らないときは、赤字の現場を請けている可能性があります。

対処法は、次の順番です。

  1. リスケをする:貸主(銀行・日本政策金融公庫)に、返済計画の見直し(リ・スケジュール)をお願いします。事業計画書を持参し、一定期間の返済額を減らしてもらう交渉です。材料屋など業者様への支払いが溜まっている場合も、正直・誠実にお話しし、過去の分を分割で支払わせてもらえるよう頼みます。
  2. 1現場1現場の原価管理を行う:現場ごとに、売上から材料代と人件費を引いて、いくら残ったかを出します。これを続けると、赤字の現場を請けなくなり、「失敗」の状態にはなりにくくなります。
  3. 借金完済の方法を先に学んでおく:どうしたら借金ができてしまうのか、できた借金をどう完済するのかを先に知っておけば、そうなることを大きな確率で防げます。「塗装店さんに特化した借金完済のロードマップ」をご覧ください。
  4. 早めに専門家に相談する:お金の問題は夜も眠れなくなり、判断が鈍ってきます。日本建築塗装職人の会では「塗装店専門の経営相談」を随時(予約制・無料)で受け付けています。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

家庭が崩壊するケース

3つ目の失敗は、家庭崩壊というケースです。仕事が取れず、借入が増えていくと、不安な日々と同時に生活が厳しくなり、家庭内が荒れることがあります。奥様のご実家や親戚からもお金を借りるようになり、離婚になるケースもあります。

この段階まで来たら、いくつかの道を検討しながら、ベストを尽くしてください。

◎会社を廃業し、会社員に戻る(収入が安定し、家庭を守れます。借金は地道に返す計画を立てます)
◎経営を続けるなら、家族の幸せを優先した決断をする(再起して家庭を築き直した方もいます)
◎プライドを捨てて、奥様に仕事を手伝ってもらう、または外で働いて収入を作ってもらう

独立後の失敗3つのケースは、「仕事が取れない」→「借入が増える」→「家庭が崩壊する」という順番で大きく酷くなっていきます。そのため、「仕事が取れない」「借入が増える」という段階で手を打ち続けていくことが、最終地点の「家庭崩壊」まで行かずに済む方法です。

独立して「失敗した」と感じたら

すでに独立していて、この記事を読みながら「自分のことだ」と感じた方へ。失敗したと感じた時点で手を打てば、立て直しは十分に可能です。まず読んでいただきたい記事が2つあります。

◎借入が増えてきた方:塗装店さんに特化した借金完済のロードマップ
◎仕事が取れず、この先を迷っている方:独立したけど失敗…そんな時の「逆転の選択」

独立しないほうが良い2つのケース

作業場の机に置かれた無地のノートと鉛筆、刷毛とローラー、塗料の色見本

次に、独立しないほうが良い2つのケースをご紹介します。以下に該当する点がありそうだとしたら、独立後いろいろと苦労をされることが想定されますので、以下を読んで脇を引き締めて、独立をお考えになってみてください。

「志」が無い場合

独立をしないほうが良い1つ目のケースは、「志」が無いというケースです。10点セット②「志」が揃わない方です。

志が無いというのは、ただ儲かるのであればやってみたい程度に考えて独立を考えているようなケースです。このような方の場合、経営が苦しくなった時には、何のために今の仕事を行っているのかが分からなくなったり、また、経営がうまく行かない理由を他人や環境のせいにしたりする傾向があります。

また、経営がうまく行かないことが続くと、儲かりそうな別の仕事に鞍替えをしてしまったりすることもあります。そのようなスタンスの方は、いつの時代でも、どのような業界にも一定数おられますが、結局、何をやっても成功はしにくいでしょうから、独立に当たっては「志」をしっかりと持ち、どんなに苦しくても、自分の決めた道を貫く覚悟で挑戦することを大切にしていきたいですね。

仕事能力を高め続けていく意思が無い場合

独立をしないほうが良い2つ目のケースは、「仕事能力を高め続けていく意思が無いケース」です。

独立をした後には、経営全般において、学び続けて、それぞれの仕事能力を高め続けていく意思を持たなければなりません。

塗装店経営を行う上で特に重要になってくる「仕事能力」とは、以下のとおりです。

◎現場の施工技術
→年々新しい材料についての使い方を学び続けることも大切です。
◎部下育成
→社員の時にはあまり気にしなかった「マネジメント」についても学び続けない限り、良い仕事を継続的に提供し続けることができません。
◎マーケティングや営業
→独立した後には自分でお客様を獲得してくることが求められるため、マーケティングや営業の学習は必須となります。
◎人材採用
→今の時代は、ただ求人広告を出せば人を採用できるという時代ではないため、採用~面接等の方法も学ぶ必要があります。
◎経営管理
→今は昔と違って、競争相手も多い為、小さな会社でも「経営管理」を学んでいるのと学んでいないのとでは大きな差になります。

細かい点を挙げればきりがないですが、会社経営を行っていくということは、日々の勉強、日々の能力向上になりますので、学ぶことを避けて通りたいという方は、独立はしないほうが良い人生を送れるかもしれませんね。

独立だけが正解ではない――会社に残る「社員親方」という道

塗装現場で若手職人にローラーの動かし方を教えているベテラン職人の後ろ姿

ここまで独立の準備を書いてきましたが、職人の成功の形は「独立」の一つだけではありません。会社に残りながら、親方として成長する道もあります。

独立に向いている人と、会社に残って親方として成長する人

技術力と経営力は別の力です。腕が良いことと、会社を経営できることは同じではありません。どちらの道が合うかは、次の3点で考えてみてください。

見る点独立に向いている人会社に残って親方として成長する人
志自分の看板で、地域に必要とされる会社をつくりたい技術を極めたい。現場と後輩を任されることにやりがいがある
経営の意思集客・見積・資金繰り・税金も、自分で学んで引き受ける覚悟がある経営の仕事より、施工の品質と人を育てることに時間を使いたい
家族の状況家族が独立に賛成し、収入の波がある時期を一緒に越えられる安定した収入を優先したい。家族の事情で収入の波を避けたい

「会社に残って親方として成長する人」の列に多く当てはまる方は、独立しないことが「負け」ではありません。会社の中で現場を任され、後輩を育て、お客様に責任を持つ「社員親方」として、誇りと安定のある人生を築く道があります。

会長の評論「独立を勧めるだけでは、職人の未来を守れない」

「社員親方」という考え方は、日本建築塗装職人の会の会長・青木忠史が、親方タイムズの評論「独立を勧めるだけでは、職人の未来を守れない」で書いています。

要点は3つです。

◎独立という道を否定しない。ただし、職人の成功を「独立」の一つだけにしてはいけない
◎会社に残りながら、親方として成長し、誇りと安定のある人生を築ける道をつくる
◎親方には3つの形がある。会社を経営する「代表親方」、会社の中で現場と人を育てる「社員親方」、自分の技術と事業を担う「一人親方」。どれか一つだけを正解にせず、それぞれに合った道を選べる業界にする

独立するかどうかを迷っている方、社員の独立に悩む経営者の方は、評論の全文をお読みください。

独立を選んだ方の歩み―塗装店での独立成功事例(ビデオ)

独立して、ニッポンの塗装店FCへ加盟して、元請けの塗装店になった事例をご覧ください。

(独立直後の方をご紹介することはいろいろな問題が発生する可能性もありますので、独立後数年後の方々となります)

(また、ここでご紹介した方々は、いずれも塗装職人ではなかった方なので、塗装職人の方なら、さらにうまく物事が運ぶことと思います)

外壁塗装の独立でよくある質問

事務所で電話の受話器を取りながら無地の手帳を開いている作業着の人物の手元

一人で集客・営業・施工をこなすのは厳しいですか?

正直に言えば、厳しいです。施工中に電話が鳴り、夜に見積書を作り、休日に次の現場を見に行く生活になります。ただ、最初の1〜2年は多くの方がこの形で乗り切っています。コツは、集客を「仕組み」にしておくことです。チラシの配布地域と頻度を決め、ホームページとGoogleビジネスプロフィールを整えておけば、営業にかける時間を減らせます。手が足りなくなってきたら、それが人を雇う時期です。

下請けのまま独立してもよいですか?

構いません。独立直後は、元請様からの下請け仕事で食べていくのが普通です。大切なのは、下請けのままで「終わらせない」ことです。下請けの仕事が続いているうちに、自社で選ばれる仕組み(チラシ・ホームページ・紹介)を始めてください。元請様の仕事が途切れたときに自分で取る手段が無いことが、失敗の一番の原因だからです。

家族に反対されています。どう進めればよいですか?

反対の理由を、まず聞いてください。多くの場合、理由は「収入が不安定になる」ことへの不安です。その不安に対して、独立後1年間の売上と経費の計画(10点セット⑧「経営計画」)と、仕事がゼロでも3か月は生活できる貯金があることを、紙で示してください。数字が無いまま「大丈夫」と言っても、不安は消えません。家族の応援は、10点セット⑥「応援をしてくれる奥様」に数えるほど大切な準備です。反対されたまま独立するのは、お勧めしません。

独立の相談はどこにすればよいですか?

塗装店の独立に関するご相談は、日本建築塗装職人の会で受け付けています。まずは無料会員登録をしていただくと、経営の考え方・集客・営業・職人育成のヒントを、メルマガ・無料資料・セミナー情報で受け取れます。独立を1年以内に考えている方は、月1回のオンライン面談で独立の準備を一緒に進める「独立起業支援コーチ」をご検討ください。1年で独立できなければ費用を全額返金する、という形で支援しています。

まとめ

外壁塗装で独立するために、独立までの流れと目安、一人親方か4人までの塗装店か、独立成功10点セット、資金の内訳、手続きと資格、仕事の取り方、失敗3つのケース、独立しないほうが良いケース、社員親方という道、独立成功事例を紹介しました。

あらかじめ未来のことを知りながら前進していくことで、独立の成功確率は格段に高まります。あなたが塗装店として独立成功することは、塗装業界の発展に繋がり、日本経済の発展にも繋がっています。準備を整えてチャレンジし、独立成功を実現されてください。

日本建築塗装職人の会では、塗装店の独立後、年商1億円、そして事業承継までの経営全般のサポートを行っています。次の一歩として、以下をご利用ください。

◎まず学び始めたい方:無料会員登録(経営・集客・営業・職人育成のヒントを、メルマガ・無料資料・セミナー情報で無料でお届けします)
◎1年以内に独立したい方:独立起業支援コーチ(月1回のオンライン面談で独立の準備を一緒に進めます)
◎独立しない道も考えたい方:会長の評論「独立を勧めるだけでは、職人の未来を守れない」

次はあなたの番です。まずは無料会員登録から始めてください。

いつもありがとうございます。