塗装屋で利益を増やすためにやるべきこと。
それは、「現場ごとの原価管理を徹底すること」です。
会社経営で必ず必要なのは「利益」です。その利益を出すためには、工事店は「原価管理」がどうしても必要です。
仮に、原価65%だと思っていたところ、実際には70%だった、、というように原価に5%の誤差があったとしましょう。
「ああ~。原価が思ったより高かったな・・・」で終わるでしょうが。
営業利益が5%だと思っていたのに実際には0%だったしたら・・・、どう感じますか?
大きなショックですよね。
実際には、原価が高くなるということは、利益が少なくなるということに直結しています。つまり、「原価管理をする」ということは、「利益を管理する」ということでもあるのです。それでは具体的に、どのように原価管理をしていけば良いのか、原価管理の基本の5つのテクニックを一緒に学んでいきましょう。
上の「原価管理シート」は繁盛親方で作成できる「高機能-原価管理シート」です。繁盛親方もぜひ活用してみてね!
この記事の目次
1.原価管理の基本的な流れを理解する
原価管理で利益を増やすテクニックの1つ目は、「原価管理」の基本的な流れを理解することです。
ステップ0 「工事原価」という概念を理解する
工事原価とは、材料費・労務費(人工)・現場工事に関わる設備機械等の費用など、いわゆる工事に関わる全ての費用を指します。意外と「原価って何?」という方もいますが、まずは工事原価を把握しないと「原価管理」は出来ませんものね。
ステップ1 現場が始まる前に、原価管理シートの「実行予算」(目標)を立てる
そして、大事なことは現場が始まる前に「原価管理シート」に「実行予算」(上図②部分)を記入することから始めます。既に見積時点で作成していることでもありますが、意外と「実行予算」を作っていない塗装屋さんも大勢います。つまり、どんぶり勘定経営の塗装屋さんですね‥。まずは、「実行予算」を記入することから頑張りましょう!
ステップ2 「工程管理表」と「原価管理シート(実行予算入力済)」の2枚で工事の進捗管理をする
日々の業務では、現場ごとの「工程管理表」と「原価管理シート」(出来れば印刷出力することがBEST)を毎朝・毎夕に確認をしながら、工事の進捗が予定どおりに進められているかを確認をしていきます。
ステップ3 工事完了後、「実際にかかった原価」を記入し、当初決めた「実行予算」との差異の原因を振り返る
工事完了後には上図の「原価」④部分を記入して、当初決めた「実行予算」との差異を確認して、原因をリストアップします。そして、次の現場の原価管理に活かしましょう。
ステップ4 月末に、当月完工した現場の「原価管理シート」を集計して「完工売上一覧」を作成する
「完工売上一覧」とは、当月に完工した現場を一覧にした表を指しています。その一覧表を月末に作成し、「月間完工売上」「月間完工原価」「月間完工原価率」を出します。
もちろん、複数部門がある場合、部門ごと(工事種類)の「月間完工売上」「月間完工原価」「月間完工原価率」を出すように努力しましょう。
2.部門別の「基準原価率」を決める
原価管理で利益を増やすテクニックの2つ目は、部門別の「基準原価率」を策定することです。部門別とは、工事種類ごとを指しており、具体的には以下のとおりです。
・元請けー外壁塗装
・元請けー屋根塗装
・元請けーアパート塗装
・下請けー外壁塗装
・下請けー屋根塗装
・下請けーアパート塗装
など。
「基準原価率」とは、仮に、元請けー外壁塗装は、原価〇〇%で行う、下請けー外壁塗装は、原価〇〇%で行う、というような、自社の基準を作ることを指しています。
工事種別ごとの「基準原価率」を定めるのは、同じ外壁塗装工事でも、元請けで自社受注する時と、下請けで受注する時では、1件単価が大きく違い、その結果原価率も大きく変わってくるからです。
「基準原価率」を定めるもっとも手っ取り早い方法は、過去の施工事例の原価管理シートを作成し、それらを集計してみて、おおよその自社の「基準原価率」を導き出すことです。その後、ブラッシュアップを重ねていくことで、より精度の高い「基準原価率」を出していくことが出来るようになります。
会社全体の原価率目標はおおよそ【70%】を上限とする
会社全体の原価率目標は【70%】を上限とするという理由は、中小規模の塗装屋の「販売管理費」はおおよそ25%という見通しであり、残り5%が「営業利益」となるためです。「営業利益は5%程度は残しましょう」という提案でもあります。
さて、あなたの会社でのそれぞれの部門の原価率目標は〇%でしょうか?以下を考えてみてください。
工事種別 | 原価率目標 |
元請け-外壁塗装部門 | % |
元請け-屋根塗装部門 | % |
元請けーアパート塗装部門 | % |
下請けー外壁塗装部門 | % |
下請けー屋根塗装部門 | % |
下請けーアパート塗装部門 | % |
一方で、「販売管理費」が25%の時に、原価率が【75%】になるということは、営業利益が0%となるということでもあるため、経営が成り立たなくなるということでもあります。
どのような塗装屋さんでも、全ての現場で利益が沢山出る良い現場ばかりなどということはありませんが、経営成功を持続している塗装屋さんは、どのような現場でもしっかりと原価管理をしているものですので、ぜひとも頑張っていきましょう。
3.全現場、もれなく「原価管理」を実施する
原価管理で利益を増やすテクニックの3つ目は、例外なく全ての現場の原価管理を実施することです。現場には以下の3通りがありますね。
①一般の現場
②クレーム現場
③ゴソ仕事(細かな仕事)
一般の現場では原価管理シートをつけなければいけないということが頭に入っていても、「クレーム現場」や「ゴソ仕事」では原価管理シートを作成することを忘れがちです。
・クレーム現場では、売上の記入が出来ないケースでも、原価の欄の記入だけでも行う
・ゴソ仕事の場合には、ひと月でまとめて「ゴソ仕事」という原価管理シートを作成することでもOKです。
塵も積もればなんとやら‥と言われますので、しっかりと行い、会社の正しい原価を把握していく努力をしましょう。
4.親方にも「原価管理」ができるようになってもらう
原価管理で利益を増やすテクニックの4つ目は、現場親方にも「原価管理」が出来るようになってもらうということです。
小さな塗装屋では、まず「社長」が行い、次に「職長」にもできるようになってもらい、最後には「親方」もできるようになってもらうことが基本の流れです。
よくある話で、「うちは、原価管理シートは、事務員さんにつけてもらっているんですよね~」という会社がありますが、それは、単なる記載だけの問題を解消しているだけであり、「原価管理ができる人材を育てること」には繋がっていません。。。
ですので、現場仕事が忙しい等という現実に関わらず、社長→職長→親方の順に、原価管理が出来るように育成をしていくことが基本となります。
ただし、ここで1つだけ注意点があります。
「理念ビジョン価値観マッチング型」で採用している人材でない場合には、なるべく原価管理まではさせないことも大切です。仕事を覚えたら独立をしよう」と腹の底で考えている職人さんに、仕事を教えて、原価管理をさせて、営業をさせて、その後、退職されてライバル会社を創業される、というケースが多々あります。
そのようにならないためにも、理念ビジョン価値観マッチング型で採用した人材以外には、原価管理や営業の仕事は教えないことが賢明ですよ!
5.原価率と塗装屋の関係性を理解しておく!
それでは、最後に、原価率と塗装屋の関係性を紹介します。自社の改善のヒントにしてみてください。
5-1.原価率が【高い】塗装屋さんの6つの特徴とカイゼン策
原価が常に高く、利益が残っていない塗装屋さんの特徴は以下のとおりです。
特徴① 現場での仕事時間が短い
特徴② 社長は職人側のせいにし職人側は社長のせいにする
特徴③ 職人側は自分たちの思う仕事(納得のいく仕事)に専念する習慣がある
特徴④ 話し方ものんびりしていて同じ話を何度も繰り返す
特徴⑤ 会社をもっとよくしていこうという「向上心」や「改善意欲」が極めて低い
特徴⑥ 宴会が多い
①社長が管理できる範囲に事業を縮小する
②社長が先頭に立ち原価管理を行う
③社長が心を入れ替え、真面目に経営に打ち込む
④人材の入れ替えが起きてもやむをえず‥
⑤できるならニッポンの塗装店FCに加盟して業績改善計画を本気で実行する。人生の時間を無駄にしないためにも…。
5-2.原価率が【低い】塗装屋さんの6つの特徴と注意点と対策
原価が常に低く、よく管理されている塗装屋さんの特徴は以下のとおりです。
特徴① 現場での仕事時間が長い
特徴② 決められた目標どおりに完工しようという意識が高い(原価管理に対する意識が共有できている)
特徴③ 自己責任の原則が浸透していて、素直な職人さんが多い
特徴④ チームワークが良く、若い部下も育つ風土がある
特徴⑤ 施工技術の習得意欲が高い
特徴⑥ 資格取得などにも積極的に取り組んでいる
理想的な塗装屋さんに見えますね。しかし、注意点を述べておきます。
②経営ビジョンを策定して、社員から見ても魅力的な会社を創造していく
③賃金テーブルや評価設計を整え、長く働きやすい会社づくりをしていく
④引き続き、理念ビジョン価値観マッチング型の組織づくりを行っていく
上記全てを満たす会社づくりを行っていくためには、手前味噌ですが、ニッポンの塗装店FCがおすすめです(毎度のことですが、本当におススメなので‥)
5-3.原価率は【低いが職人さんの出入りが多い】塗装屋さんの特徴と対策
最後は、原価は低いが、社員の出入りが多い塗装屋さんの特徴は以下のとおりです。
特徴① 社長が仕事に対して厳しすぎる傾向がある(しかし、社長自身が気づいていない‥)
特徴② 社長が現場作業をやらないで、口だけで管理をしている傾向がある
このような会社では、原価は低くても社員に精神的なストレスが溜まっており、社内には愚痴が蔓延していたりして、職人の出入りが激しくなっていたりする状況があります。
②社長は口頭伝達・口頭指導を辞めて、ただ、ひたすらに業務マニュアルを作成する(そうすることで社長の奥深さが理解できるようになり、仕事が回っていく)
③社長は、書籍などを執筆してブランディングを高める(エネルギーのはけ口を別方向に向けるという点と、ブランディングを高めて、さらに良い人材の採用成功を実現する)
以上が、特に目立った、原価率と塗装屋さんの関係性です。上記以外のケースに対しての回答が欲しい場合には、こちらからおたずねください。
まとめ
塗装屋さんが原価管理を徹底すること。これは経営の中心軸であり基本です。そのように理解して取り組むことで、必ず業績は向上します。
そして、原価管理からの業績向上は他社との競争ではなく、自社独自の努力で出来ることです。なので、やらない理由はありませんね!
つまり、人知れずお金持ち塗装屋になるための経営は「売上目標」だけではなく、「原価管理」もしっかりと行うことですね。
おすすめは、「塗装屋経営をAIで最適化する-繁盛親方」です。防水屋さん、屋根屋さんも活用できます。
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