序章 前文
私たち塗装技術者は、「建物を守り、人々の暮らしを豊かにし、地域社会から信頼される存在になること」を理念としています。
塗装は単なる作業ではなく、住宅を長持ちさせ、家族の安心を守り、地域の景観や価値を高める社会的な使命を持っています。現場で行う一つひとつの行動が、お客様の生活や地域の未来、そして会社の信頼や業界の発展につながっています。
そのため、技術力だけでなく、人としての誠実さ・責任感・協力の姿勢を大切にし、日々の仕事の中で起こりがちな「慣れ」「思い込み」「油断」を超えていく必要があります。
ここに、私たちが経営理念を現場で体現し、誇りを持って働くための倫理綱領を定めます。
第1章. 自分を高める責任
1-1 専門知識や技術を学び続け、生涯にわたり成長を目指します。
現場では、長年の経験に頼って新しい工法や材料の勉強を怠ったり、「昔のやり方で十分だ」と思い込むことがあります。
しかし、技術や建材は時代とともに進化しており、古い知識のままでは品質が落ち、事故やクレームにつながってしまいます。
自分から学びにいく姿勢が、品質の向上と信頼につながります。先輩から学んだ技術に加え、新しい知識を取り入れることで「次世代に通用する職人」になれます。
1-2 健康を守り、仕事を安全に行える心身の状態を保ちます。
無理な働き方や睡眠不足のまま現場に出たり、体調不良を無視して作業すると、集中力が落ちて事故やミスが増えることがあります。
塗装は体力・気力を使う仕事なので、心身の乱れはそのまま品質にも表れます。
体調管理は“自分の責任”であり、仲間やお客様を守る行動でもあります。
万全のコンディションが、質の高い仕事を支えます。
1-3 誠実さや思いやりを大切にし、信頼される人間性を磨きます。
現場でよくあるのは、不機嫌な態度や乱暴な言葉遣い、小さな約束を軽く扱うといった行動です。
これらはたった一度でもお客様の心に不信感を与え、会社全体の信用を損なう原因になります。
誠実で礼儀正しいふるまいは、技術と同じくらい大切な「職人の価値」です。
人としての在り方が、仕事の質を高めます。
第2章. 法律と社会のルールを守る
2-1 仕事に関わる法律や決まりを守ります。
曖昧な契約のまま工事を始めたり、法律の知識が不十分なまま自己判断してしまうことがあります。
しかし、こうした行為はトラブルや法令違反につながり、会社にも大きな損害を与える危険があります。
必要な法律知識を理解し、わからない部分は会社に確認する。
「問題を未然に防ぐ姿勢」が信頼と健全経営につながります。
2-2 安全と衛生に十分注意し、事故やケガを防ぐ行動を徹底します。
慣れからくる油断で安全帯を付けなかったり、足場の確認を省略したり、道具の点検を後回しにすることがあります。
しかし、こうした小さな油断が重大事故の原因になり、取り返しのつかない結果を生みます。
安全ルールは「守るかどうか」ではなく「守って当然」。
小さな安全行動の積み重ねが命を守ります。
第3章. お客様との関係を大切にする
3-1 お客様の信頼に応えるため、誠実で丁寧な仕事を行います。
現場でありがちなのは、片付けや清掃を雑にしたり、工程をごまかしたり、気を抜いた態度を見せてしまうことです。
こうした行動は一瞬でお客様の信頼を失わせ、会社の評価にも大きく影響します。
工事の品質だけでなく、態度・言葉・現場の美しさを含め「すべてが評価される」という意識で取り組みます。
3-2 専門的な内容は、難しい言葉を避け、わかりやすく説明します。
専門用語だけで説明したり、忙しさを理由に説明を省略すると、お客様が内容を理解できず、不安や誤解が生まれます。
これはクレームの大きな原因になります。相手の立場に立ち、ゆっくり丁寧に説明することが、安心と信頼を生みます。
3-3 工事の後も良い関係を続けるため、責任をもって対応します。
不具合の報告を後回しにしたり、工事後のフォローを怠ると、お客様の安心が損なわれ、紹介やリピートの機会を失います。
工事完了は「関係の始まり」。
正直で迅速な対応が、お客様との長い信頼を育てます。
第4章. 会社と仲間との関係
4-1 職場の仲間を尊重し、協力し合いながら仕事を進めます。
自分の作業に集中しすぎて周囲を見なかったり、できない人を責めるだけで助けないことがあります。
これでは連携が乱れ、品質も安全もスピードも落ちてしまいます。仲間に声を掛け合い、助け合うチームが、良い仕事を生みます。
4-2 公正な態度で行動し、会社の健全な運営に貢献します。
ミスを隠したり、材料の無断持ち出しをするなど、不正行為が起こると、会社の信用が大きく損なわれます。正直で公正な行動が、会社の信頼と繁栄の土台になります。
第5章. 業界と社会への責任
5-1 若い人材の育成に力を入れ、技術・考え方・心を次の世代に伝えます。
「見て覚えろ」と突き放したり、感情任せに注意してしまうと、若手が育ちません。若手が定着しない会社は将来が弱くなります。自分が学んだものを惜しまず伝えることが、業界の未来を守ります。
5-2 塗装業界と建築業界の発展に役立つよう、できることに取り組みます。
自社の利益だけを優先し、不正確・不誠実な施工を行うと、地域全体の塗装店・塗装業界の信頼まで落としてしまいます。誠実な仕事が業界の信頼を守り、結果として自社に戻ってきます。
5-3 地域の一員として、社会からの信頼に応える行動を心がけます。
現場の騒音やゴミ、近隣対応を軽視すると、地域の信頼を損ない、クレームの原因となります。
地域の人々から「安心して任せられる」と思われる存在を目指します。
第6章. 地球環境と未来への責任
6-1 材料の無駄を減らし、環境に負担をかけない施工を心がけます。
塗料の余りを放置したり、廃材を適当に処分すると、環境汚染だけでなく会社の信用問題にも発展します。環境への配慮は、社会から信頼される職人の姿勢そのものです。
6-2 国際社会でも誇れる日本の技術者を目指し、向上心を持って学びます。
自分のレベルに満足してしまい、海外基準や新しい知識に関心を持たないと、技術者としての価値が下がります。向上心を持ち続けることが、時代に通用する技術者をつくります。
6-3 次の世代に胸を張って渡せる未来をつくる努力を続けます。
目先の利益だけを追い、未来の人材や環境への配慮が欠けると、業界そのものが弱くなってしまいます。未来につながる“良い仕事”を積み重ねることが、次の世代の力になります。
終章 結び
塗装技術者は、この倫理綱領を道しるべとし、日々の仕事の中で起こりがちな失敗や慣習に向き合い、改善を続けていきます。
その一つひとつの努力は自分自身の成長につながり、仲間や会社を強くし、地域の暮らしをより良くする力となります。
私たち日本の塗装技術者が職人として誠実に働くことは、やがて日本の建築業界全体の発展となり、社会・日本国家の未来を支える確かな力になります。
日本人として、この誇りある道を、共に歩み続けていきます。
(制定:2018年1月11日)







